スポーツオイルメーカーが提案するエンジン添加剤

スピードマスターは、主にスポーツ系チューニングオイルを中心にリリースしているオイルメーカーです。そのコンセプトは「良さを体感していただけるオイルづくり」をモットーとしています。”体感” を可能にするのは、その特化した潤滑性能に秘密があります。エンジン内での摩擦抵抗を、可能な限りスムースにすることでロスをなくし、いかに効率よくエンジンを作動させるかが最大のポイントなのです。そうした中でつくり出されたのが、このオイル添加剤です。
オイルメーカーなのに、なぜ後入れの添加剤を販売するのか?

オイル開発にあたって新たなる摩擦調整剤の開発に着手した際、ある素材に着目しました。(特殊形状に加工した、層状構造を持つファインセラミックス)この素材の効果は、オイル性能を向上させる上で絶大な結果をもたらしました。

ところが、固体潤滑剤全般に素材自体の比重が他のオイル成分より大きい性質を持つため、製品を長期保存すると、主成分が沈降してしまうおそれがあるため、採用を見合わせていました。

 

時間が経過すると沈降してしまう

 

そこで、この問題を解決するために”後入れの添加剤”としたのです。

添加剤を直接注入し、エンジンを動かすことによって、熱が加わると有効成分が分散します。

さらにエンジン内部に入ると金属面の粗さによる凹凸を埋める形で吸着します。

 

 

熱が加わると分散する

 

”体感”を可能にするメカニズム

エンジンオイルの大きな役割として
「油膜による金属間接触の防止」があります。

 

 

 

 

 

 

 

バルブ/カムシャフト/シリンダ/ピストン/クランクシャフト/ベアリングなどの摩擦の低減、焼付き・摩耗の防止をおこなっています。

 

金属同士が接している表面はどんなに滑らかに見えても、顕微鏡レベルでは細かい凹凸が噛み合っているため摩擦抵抗が生じます。
ここにオイルを流し込むことによって凹凸が埋まり、噛み合いが消滅します。

 

 

ピストン、シリンダー間やベアリング系の摩擦制御は、一般的に粘度が低い方が抵抗が少ないため有利です。このため最近の省燃費車には0w20など低粘度オイルを指定しています。

ここでポイントとなるのは、油膜が小さいため一部金属接触が起きやすいカム、バルブ周りの潤滑です。

 

 

こうした箇所はオイルの油膜の厚さが、摩擦面の表面粗さより小さいために金属接触が起っています。
摩擦調整剤が、凹凸を埋める形で金属面に吸着します。
(※成分の形状も重要なポイントで、粒子が金属面の凸部より小さいと意味がありません。)
この部分を摩耗、焼付きから保護するため、エンジンオイルには摩擦調整剤(フリクション・モディファイヤ)が配合されますが、スピードマスターでは、エンジンオイル販売開始以来、この開発に力を入れています。
これを特化させることにより、金属接触面の保護だけでなく、摩擦によるエンジン作動効率のロスを低減し、その性能を引き出すことで「体感」できる効果を発揮します。
平板状の結晶が積み重なった層状構造で、特定の結晶面は分子間の結合力が弱く、自己潤滑性を持っている。
同じような層状構造を持つ固体潤滑剤に二硫化モリsブデンやグラファイトがありますが、これらの熱安定性が350℃~500℃であることに対して、本製品成分は900℃でも変質しないのが特長です。
ピストンリングは、シリンダー内の混合気や爆発ガスを逃がさないためのコンプレッションリングと、燃焼室へのオイル侵入を防ぐため、シリンダー壁の余分なオイルをかき落してるオイルリングからなります。この接触面の耐摩耗性を良くすることで、圧縮漏れを防止するこができます

 

コンプレッションリング(一般的にピストンリングの上部2本)は、ピストンの熱膨張による体積変化を逃がすため、わずかな隙間を持っています。このため、回転速度やオイルの状態によって複雑で微妙な動きをしています。リングとシリンダーとの摺動面、さらにピストンのリング溝とリングが接触する上下面の潤滑性を良くすることで、リングの動きを安定し圧縮漏れを防ぐ効果があります

 

また多走行車の場合、ピストンリングがスラッジ等によつて動きが阻害されたり、固着してしまっていることがあります。この場合も、潤滑性が改善されることでコンプレッション不足を解消します

 

以上のように、金属接触による摩擦のロス低減をすることで作動部分の効率を良くすること。さらに、高効率化によってバルブの開閉やピストンリングの動きが安定することによる圧縮漏れを防止することで、そのエネルギーをパワーや燃費に還元し”体感 ”につなげます
効果

パワー&トルク向上
グラフは添加直後の物で、走行後馴染んでくればさらにアップが期待出来ます。また、下のグラフは他車種の物で、ピークパワーは4ps程度のアップでしたが、曲線カーブが非常にきれいに補正されました。
有害排気物
10,15モード走行状態の排出ガス試験添加前と添加後でシャーシダイナモ上で速度60km/hで約15分走行後測定(アイドリング時の試験では効果が出ませんでした。)試験車両は走行距離11,000kmと比較的新しい車両ですが効果が確認できました。
燃費向上
多走行車ほど効果が現れやすい傾向がわかります。(社内比)
保護

金属接触による摩擦を防ぐことは、摩擦による発熱を低減し油温の上昇を防ぐことにもつながります。
多走行車の場合で、摩耗によりシリンダーとピストンの隙間が広がってピストンがぐらつき、シリンダー壁に接触してしまう場合も有効です。
レースのようなハードな走行の場合、高熱やせん断により油膜が切れ、クランクシャフトとメタルが直接接触し焼き付きをおこす場面にも有効です。